研削砥石の構成ケイヒントイシ
研削砥石の三要素
三要素
砥粒(Grain) | 結合剤(Bond) | 気孔(Pore) |
---|---|---|
非常に硬く、切り刃として 被削材を削る。 | 砥粒をしっかり保持し、 さらに相互に結びつける。 | チップポケット、 及び冷却効果。 |
研削砥石は図のように、砥粒、結合剤、気孔の三要素で構成されていて、高速度で回転しながら無数の鋭い砥粒で極めて迅速にワークを削り、美しい仕上げ面と正確な寸法に仕上げることのできる研削工具です。
研削砥石のメカニズム
このような加工を研削加工と称し、加工が進むに従って、砥粒が磨耗するとともに劈開、脱落して、常に新しい砥粒、即ち切り刃を生じ、研削作業を同じ状態で続けて行くことができます。
これが切り刃の自生作用で、他の切削工具にはない特徴です。
研削砥石の五要因
三要素をさらに次の五要因に分けます。この五要因で研削砥石の品質は決定されます。
五要因
砥粒 | 粒度 | 結合度 | 組織 | 結合剤 |
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砥粒の 種類 | 砥粒の大きさ (Fまたは#) | 砥粒の結びつきの 強さ | 砥粒率の 大小 | 結合剤の 種類 |
砥粒(Grain)
砥粒の種類および特徴・用途
セ ラ ミ ッ ク 砥 粒 | QB砥石 新しい製法によるアルミナ質多結晶形砥粒で、強靭で独特な破砕性を持っています。 合金鋼、工具鋼、ステンレス鋼等の重研削、精密研削ともに抜群の性能を発揮いたします 詳しくはこちらをご覧下さい | |
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溶 融 ア ル ミ ナ 質 砥 粒 | WA砥石 破砕性に富みシャープなエッジが出やすい砥粒 一般焼入れ鋼、合金鋼、工具鋼の精密研削 | |
A砥石 靭性に富む砥粒 一般鋼材の自由研削、重研削、精密研削 一般焼入れ鋼、鋳鉄、炭素鋼(生材) | ||
19A砥石 AとWAの混合砥粒で両者の特長を活かした砥粒 一般鋼材の精密研削、焼入れ鋼の研削 | ||
HA砥石 単結晶砥粒で靭性があり、研削性が良い 一般鋼材、焼入れ鋼の重研削 | ||
KW砥石 破砕性と靭性を併せ持つ砥粒で、研削性が良い 焼入れ鋼、合金鋼の精密研削 | ||
PW・RA砥石 靭性に富む砥粒で、研削性が良い 合金鋼、工具鋼の精密研削 | ||
SA・KE砥石 単結晶砥粒で靭性が高い 合金鋼、工具鋼、焼入れ鋼等の難削材の研削 | ||
炭 化 け い 素 質 砥 粒 | GC砥石 極めて硬く破砕性の富む砥粒 超硬合金、鋳鉄、非鉄金属、セラミック等の研削 | |
C砥石 炭化けい素質の砥粒 鋳鉄、非鉄、セラミック等の研削 |
粒度(Grain Size)
砥粒のつぶの大きさを粒度で表します。粒度は通常“F”または“メッシュ(#)”で表現され、一定の巾の粒度分布をしています。分布の巾は次の巾の通りです
粗粒の粒度 (単位 μm)
粒度 | 砥粒径 |
---|---|
F 8 | 2,800〜2,000 |
F 10 | 2,360〜1,700 |
F 12 | 2,000〜1,400 |
F 14 | 1,700〜1,180 |
F 16 | 1,400〜1,000 |
F 20 | 1,180〜850 |
F 24 | 850〜600 |
F 30 | 710〜500 |
F 36 | 600〜425 |
F 46 | 425〜300 |
F 54 | 355〜250 |
F 60 | 300〜212 |
F 70 | 250〜180 |
F 80 | 212〜150 |
F 90 | 180〜125 |
F100 | 150〜106 |
F120 | 125〜90 |
F150 | 106〜63 |
F180 | 90〜53 |
F220 | 75〜45 |
微紛の粒度 (単位 μm)
粒度 | d ν− 50値 | d ν− 94値 |
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#240 | 57.0±3.0 | 40以上 |
#280 | 48.0±3.0 | 33以上 |
#320 | 40.0±2.5 | 27以上 |
#360 | 35.0±2.0 | 23以上 |
#400 | 30.0±2.0 | 20以上 |
#500 | 25.0±2.0 | 16以上 |
#600 | 20.0±1.5 | 13以上 |
#700 | 17.0±1.3 | 11以上 |
#800 | 14.0±1.0 | 9.0以上 |
#1000 | 11.5±1.0 | 7.0以上 |
#1200 | 9.5±0.8 | 5.5以上 |
#1500 | 8.0±0.6 | 4.5以上 |
#2000 | 6.7±0.6 | 4.0以上 |
#2500 | 5.5±0.5 | 3.0以上 |
#3000 | 4.0±0.5 | 2.0以上 |
#4000 | 3.0±0.4 | 1.3以上 |
d ν− 50値=累積高さ50%点の粒子径
d ν− 94値=累積高さ94%点の粒子径
粒度はワークの仕上げ面粗度と密接な関係を持ち、一般的に粒度の粗い方が仕事の能率は良いが、面粗度が粗くなります。
その砥石が使われる仕事の内容、研削方法、研削盤の違い等により、一般的に図の範囲の粒度が使用されます。
粒度と使用範囲 (横軸:粒度)
結合度(Grade)
砥粒を保持している結合剤の保持力の強さの度合いを結合度で表します。結合度の高い(保持力の強い)砥石は硬く、低いものは軟らかい砥石になります。結合度の表示はアルファベット記号で表し、記号の順序に結合度は高くなります。
極軟 | 軟 | 中硬 | 硬 | 極硬 |
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A B C D E F G | H I J K | L M N O | P Q R S | T U V W X Y Z |
結合度は研削砥石の切れ味に最も大きく影響を与える因子であり、その選定には十分考慮を払う必要があります。一般的には硬い被研削材に対しては結合度が低いもの、軟らかい被研削材に対しては結合度の高いものを使用します。一般的な選択の傾向は上の図の通りですが、具体的には各研削作業別の標準選択表(PDF)を参照して下さい。
使用目的により、砥石の気孔に充填剤を入れることがあります。その場合は結合度記号の後に充填剤記号を補助記号として表示します。
例 H+S (補助記号 S・・・硫黄 P・・・パラフィン R・・・レジン )
組織(Structure)
研削砥石の一定の容積に対し、その中に砥粒の占める容積比率を砥粒率と言います。その比率を15段階に分け、それに0から14までの番号をつけ砥石の組織番号とします。番号が大きいほど、砥粒率は下がる、即ち砥粒間隔の広い砥石になります。砥粒間隔の大小は研削性及び研削熱の発生度合に大きく影響します。
結合剤(Bond)
結合剤は砥粒をしっかり保持し、相互に結合することにより、砥粒の研削性能を充分に発揮させる目的のものです。
現在使用されている結合剤の種類および特性は次の通りです。
1.陶磁器質結合剤
(1) ビトリファイド法(Vitrified Bond)一般にビトリファイドボンド砥石といわれ、“V”という記号であらわします。
長石や粘土等の窯業原料を高温で焼き固めて砥粒を結合します。
結合度や組織の調整が簡単に出来、気孔が多く、研削焼けが発生しにくく、水、アルカリ、酸、油などに変化しないので、精密研削をはじめ、一般の研削作業に幅広い分野で使用されています。
セラミック砥粒QBをはじめ、各種砥粒を取り揃えてありますので、ワークの種類に応じて適正な製品を提供いたします。
2.人造樹脂質結合剤
(1)レジノイド法(Resinoid Bond)レジノイド結合剤で“B”という記号であらわします。
べークライト(石炭酸フォルマリン系)を熱硬化して作ります。
ビトリファイド結合剤にくらべて弾性があり、抗張力が強く、高速回転で使用出来るので、切断砥石やオフセット等、薄物砥石に適しておりますが、熱や、油に弱いので、研削液に注意しなくてはなりません。
(2)ゴム法(Rubber Bond)
ラバー(ゴム)結合剤“R”という記号であらわします。
天然ゴムや合成ゴムを主体にして、砥粒を練りこんで熱硬化したものです。
熱や、油に弱いので、研削液に注意しなくてはなりません。
(3)発泡法
発泡法結合剤で、“UP”という記号であらわします。
合成樹脂(ウレタン樹脂等)でつくります。
弾性に富、耐水性があるのでアルミなど非鉄類の研削に使われています。
研削砥石の標準形状および縁形
形状および縁形の表示法は、標準形状と縁形の各々の番号の組み合わせによっておこないます。
詳しくはこちらをご覧下さい